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2013年8月27日火曜日

STAEBLE-CHORO 1:3,5/38(Braun, Paxete用)

色々調べましたが、資料が少ない。
分かる範囲内で。

1950年代頃、ドイツのBraun社(Carl Braun Camerawerk)により製造された、Paxette用の交換レンズである。

なお、このレンズは低グレード廉価版として発売された。
調べてみると、Staeble社っていう会社のレンズらしい。

以下は私の聖書である、「世界ヴィンテージ・カメラ大全」より、要約。

Braun社は1906年ニュルンベルクで創業、当初は双眼鏡部品、ラジオの部品を製造していたようである。
カメラを作り始めたのは、第二次大戦後の事で、1950年代は6x9cm判のスプリングカメラ、ノルカ(Norca)シリーズと、35mm判コンパクトカメラのパクセッテ(Paxette)シリーズを展開、1950年代半ばには、高級機のスーパー・パクセッテ(Super Paxette)を投入。
1950年代の終わりには当時流行したレンズシャッター式一眼レフ、パクセッテ・フレックス(Paxette Refrex)を数機種発売。

さて、カメラ本体の写真を色々検索

Paxette Cassar 1:2.8/45
コンパクト、シンメトリーで美しいデザイン。

Super Paxette STAEBLE-KATA 1:2.8/45
色々なメーカーからレンズが供給されているようですね(下記参照)。

コレがスゴイ!!
超マニアな方。
機材が多すぎです。
恐らく、フルコンプリートと思われますが、レンズメーカー各社から、相当数の交換レンズが供給されていたようです。

(何種類とか不明)
私のレンズは右端下から2番目と思われる。
専用フードがついているような気がする。
機材リスト
多いので小さく。
下線付きは社外のレンズメーカーによるもの。
Super Paxette II
Super Paxette IIB
Super Paxette IIBL
Cheap tripod
Steinheil Munchen viewfinder 35,38,85,90,135
Braun zoom finder 35,38,45,50,85,90,135
Metraphot 3 meter
Cable release
Braun 38mm finder
Strap pin
Enna-Werk Munchen Tele-Ennalyt 1:3.5 f=135mm
Roeschlein-Kreuznach Telenar 1:5.6/135mm
Steinheil Munchen Quinar 1:3.5/85mm
Staeble-Telexon 1:5.6/85mm
Staeble-Telon 1:5.6/85mm
Steinheil-Munchen Quinon 1:2/50mm
Schneider-Kreuznach Xenar 1:2.8/50mm
Pointikar 1:2.8/45mm
Staeble-Kata 1:2.8/45
Staeble-Choro 1:3.5/38(私のレンズ)
Staeble-Lineogon 1:3.5/35



専用フードの記述はどこに?
全く分かりませんww
非常に高性能なシステムだったようです。
ボディは持っていないので、詳しい説明は割愛。

STABELE-CHORO 1:3,5/38
ステーブル・チョロって読むのかな?
アルミ鏡胴のレンズ、非常に軽い。
黒い絞りリングが先端にあり、絞り値刻印のあるピントリングを回すと一緒に動きます。
非常に使いづらいww

絞り羽根は10枚、真円絞り、非常に綺麗。
レンズは傷、クモリ無し、わずかなホコリありですが、状態は良好。

レンズ構成は3郡3枚のトリプレット!!
コーティングされているかどうかは不明。
僅かなブルーの色付きがあります。

マイナーメーカーのレンズで、生産台数もそんなに多くないと思われ、情報が非常に少ないです。

パンケーキレンズです!
この厚さは、Summaronよりも薄いと思います。
ピントリングは、ほぼ1週しちゃいます〜
で、ピント合わせが超絶シビアww
失敗作を沢山作ってしまいます。
ライカの距離計には非連動。
近接距離は1mなので、もうちょっと寄れると嬉しい。

マウントはライカマウントL39と同じ直径とピッチ。
後玉の出っ張りがスゴイ、無限遠。

最大繰り出ししてもこの出っ張り。

マウントがL39なので、このままIIfにも装着出来ます。
いや〜
かっこエエですな〜
でも、フランジバックが44mmなので、撮影は出来ませんw
残念!

で、このマウントアダプターを使います。
仕上げの状態から、純正品なのではないかと思われ、レンズよりも入手が困難らしいです。
ちなみに、レンズは数千円から売っていて、激安です。
このアダプターがあれば、上記の下線を引いたレンズが使えてしまうと言う、超恐ろしい事に!!!

このアダプターを使うと、Lマウントレンズがマクロレンズに!!
当然、距離計非連動なので、ライカでは使えません。

それでは、GXRで試写です。
まだ試しの状態なので、癖がつかみ切れていません。
近接1mって全然寄れないので、自作マクロアダプターをレンズ、マウントにそれぞれ1枚づつ挟みます。

うちの子を撮るときはどうしても近くなりがち。 
ピントは非常に分かりにくく、撮影が難しい。
解像度は高くないですが、色乗りはステキです。
黒はベタッと潰れ、肌のディテールは殆ど再現されていません。
周辺が非常に甘く、色のにじみ、ハレがありますね。
フルサイズだと周辺光量が低下しているかも。 

マクロアダプター付きの無限遠。
蛍光灯の光でもこんなに被る。
一見シャープな結像ですが、ソフトなので、女性のポートレートに向くと思います。
f3.5ですが、意外に被写界深度が浅めで、数センチしかありません。
後ボケは自然で、ゆるめ。


屋外で撮影、絞り開放。
マクロアダプターを入れているので、20センチくらい。
距離が離れると面白いボケになりますね。
右端に車が写っていますが、普通のボケです。
ボケを生かすには背景の距離をよく考えないとダメですね。

近接撮影で背景が均一な平面の場合。


ものスゴイグルグル。
こういったシチュエーションはかなり限定されますが、面白い効果ですね。

レンズ構成はトリプッレットで、凄まじいグルグルボケに脳天直撃。
ホワイトバランスは暴れないので意外と優秀なレンズ。
1950年代なので、かなり古く、ほとんど見掛けません。
お手軽なじゃじゃ馬レンズですね。
こういうレンズが楽しく使えるのも、GXRのお陰です。

マウントアダプターが非常に使えます。
ライカ用のマクロアダプターは非常にレアなので、撮影の幅がぐんと広がります。
しかも、上に挙げた下線付きのレア玉が使えてしまう!!!
嗚呼!!

マイクロフォーサイズのボディにも当然付けられますが、アダプターが無いので、皆様苦労されているようです。
私はマウント付きでしたので、非常にラッキーでした。

沢山撮影してまたアップします。

追加!!

非常にピントの幅が狭い!

ボケが面白い!

あ、割り込みされた!

ピントが合った時が気持ちイイ!
やっぱ、トリプレットはエエわ〜
しかも38mm!!
激安!!
もう、文句の付けようが無い。

マウント変換こちら
フード改造こちら



2013年8月20日火曜日

Jupiter3 分解整備

ロシアレンズで、そのまんまCarl Zeiss、SonnarのJupiter3。
ドイツ本家モノは結構高いです。
116098a


コレが本家。


鏡胴デザインがよく似ています。

画像もなかなか無くて、超レアモノ。
15万円くらいするww





しかし、Jupiter3の設計はZeissそのものなので、ロシアと言っても殆ど本家と同じ。
最初期のモノは、ドイツから徴集したZeissのガラスをそのまま使っていると言われ、写真のように外観がクリソツです。
トロトロに融ける後ボケがサイコー!
コンパクトで軽いアルミ製レンズです。

私のは59から始まるので、1959年製です。
そろそろドイツのガラスが無くなってきている頃の製造でしょうか?
燃えるような紫のコーティングが非常に美しい。
外観汚く、レンズもクリーニング傷が入っていますが、黄変なく、コーティングの剥がれもありません。
鏡胴は大きな傷以外は磨いて綺麗にしました。
真円絞り、絞り羽根の動きも素晴らしいです。
かなり古いレンズなので、あまり気にしていては....。

しかし、絞りリングを開放にすると、赤い点の指標よりもかなりズレてww
安かったから仕方がありませんが〜
もう、明後日の位置。





レンズフードはWalzのSonnar用。

コレは、ねじ込み部分とフードが別になっていて、取り付けた後フード部分がクルクル回せます。
非常に便利でレアなアイテムです。

絞り値も等間隔じゃありませんw
クリックストップもありませんので、絞り値を読む事が不可能。

実は、f1.5って、Leica Summaritと同じ開放f値で、絞り値が等間隔じゃありません。
ジュピター3はこの大きさと重さで、f1.5を実現していると言う事。
やっぱZeissはスゲエな〜
絞り値が読めないだけで、適当に絞れば使えますが、GXR以外で使うにはちょっと苦しい。

ということで、分解します。
色々調べると、絞りリングと、ピントリングの間で分解出来るようです。
タダ単にねじ込んであるだけなので、力任せに「えいっ」とやればオッケー。
私のは前オーナーがゴリラだったのじゃないか思うほど、ギチギチにねじ込んでありましたww
左下がピント調整用リング
コレ無くすと、ピントが合わなくなります。
右下がヘリコイド
謎の文字が〜

で、再度ねじ込みます。
もの凄く神経質に合わせなくてオッケーです。

何故かって?
 開放を合わせても、最小絞りは合いませんww
コレで、ライカにつけても適正露出で撮影が出来ます。


ん〜


本当にそのf値でイイのか?

かなりザックリとした感じじゃないかと思いますので、あくまでも「大体」でww





レンズの中に、アルミの調製用リングが入っていましたが、アレを重ねると接写リングになると思います。

同じモノを作るのが大変そうですが、挑戦してみる価値はありそうです。
ロシアのレンズはアルミの鏡胴でマウント部分が弱く、自作のマウントアダプターではちょっと...。
レンズ内部のネジは長いので、そこを利用すれば、楽しく遊べるのではないでしょうか?

ウチのJupiter3そんな事がありましたので、市場価格の半値以下で購入出来たのかと。
程度が良いと4万円くらい(もしかしたらそれ以上)しますね。
私は古いヤツの方がZeissらしくてイイと思います。
近年のヤツの方がレンズがイイとか言われる事もありますが、ガラスが代わって設計も代わった?詳細は不明です。
黒玉もあるので、お好みで。

バラして組み直せばオッケーでしたので、安い買物。
前述の通り、ボケが非常に綺麗で、立体感もあります。
安値で買えるSonnarなので、人気が出ていますね。
かなり高くなっているのが残念...。
ジャンク品がかなり多いので、購入時は注意して下さい〜

ギャラリー
まずはフード付きで
上 FUJINON 50mm f2.8 超レア玉
右 Leica Summarit 50mm f1.5 超癖玉
左 Jupiter3 50mm f1.5

フードなしで。
 3本とも、イイ佇まいです。

f1.5対決
写りは2本とも甲乙付けがたい。
レンズの作りは勿論、Summaritがサイコーです。

過去にアップした、FUJINONと、Summarit(その1その2)も見て下さい。

2013年8月13日火曜日

Canon 50mm f1.2 の描写を検証する

先日、後玉の水滴クモリを除去した、Canon 50mm f1.2。
その凄まじい描写を披露したい。

ちょっと脱線。
マクロアダプターを自作しました。
たいしたモノではありませんが、Lマウントなら寄れます。
材料は田宮模型のプラバンをドーナッツ状にくりぬいて使用。
100円ショップに売っている、「コンパスカッター」を使います。
コッチが1ミリ


まだ慣れていなかったので、切り口がガタガタですw


厚さが確保出来ればあんまり関係ありません。
コツは、カッターを動かさず、プラ板を動かす事。
右手にカッター、左手にプラ板で、軽い力で何回も回転させて切ります。
Canon 25mm f3.5の場合だと、1ミリを一枚が丁度良い。



こちらが0.5ミリ


薄いので作りやすいです。
大量に作成。
レンズに装着させたまま使います。
重ね合わせすることで、近接撮影距離をある程度、任意に変更出来ます。
当然、無限遠にピントは合いません。

注意!!
露西亜製等、マウント部分がアルミ製のレンズに使用してもオッケーですが、マウントネジが柔らかいため、頻繁に取り外しをしていると、ネジ山が潰れて、使用出来なくなる恐れがあります。
Mマウントに変換して、付けっぱなしならオッケーです。

子供との距離からすると、Canon 50mm f1.2では1mm厚2枚くらいが丁度イイ。
だいたい50センチくらいまで寄れます。
ウチの子はカメラを向けると、ワラワラと寄ってくるので難しい。
Lマウントはネジ式なので、あんまり重ね過ぎは良くない。
近接が1m、もうちょっと寄れると嬉しかった。

マクロアダプターを使用した場合、設計者の「意図しない描写」になっていると思います。
どこをもって「最高の描写」とするかは、色々な考え方があると思います。
レンズを楽しむには色々な方法があり、あくまでも「一つの例」としてご覧下さい。

比較のため、クリーニング前の描写もアップ。







絞り開放だと、もう、ナニが何だか分かりませんww
真夏にピッタリのレンズである事は間違いない。

F2まで絞ってみた



一気にシャープネスが向上し、ボケに表情が出てくる。
このままでも十分に面白い

また開放
風呂上がりじゃないんですが〜
写る写真は全部こんな感じ。
曇ると真夏用という事でww


カメランドにてクモリを除去。
劇的に改善しているのが分かります。
ま、当然ですが。
 足のリベンジ
ピントが甘いですが、ハレが少なく、スッキリとしてイイ感じ。 



少し離れると、独特の立体感がイイ。 

ゾクゾクしますな。 

これぐらいの距離感がとても素晴らしい描写をする。

黒がベタッと潰れないのはイイ。 


とてもソフトな写り。

点光源を入れるのはやはり、写真の基本か?
ピントが難しい〜


ピントは凄まじく浅い。
はやり少し離れた方が面白い。
独特の空気感がステキ。 


実は、息子がiPhoneで父を撮り、父がGXRとCanonで息子を撮影

点光源が小さく寄り集まった所だとどうなのか?
アクセサリー売り場にて。
女の子はこういうのをバックにすると、映える。

メルヘンな世界。
わざと右側に入れてみた。
アクセサリーをバックに入れた方が面白くなりますね。
やり過ぎると五月蠅くなるので注意が必要です。
 
ピントの解像度はかなり高い。
背景を完全に整理するとこんな感じ。
気持ちイイ。 

ピントを狙いすぎると、すぐ外れる。
不思議な立体感。 

背景は必ずこんな感じになる。
なんと言って表現したら良いのか?
流れる?

若干グルグル。
あんまりグルグルは出ないですが、こんなふうに時々出る。
確実に出すのは難しい。

背景に反射が少ないと、こんな柔らかい感じに。
ステキです。 

わざと背景を五月蠅くしてみたつもり。

ちょとピントがアレですが、やはり光源を入れる方が面白い。

前ボケと後ボケ
結構違いがありますね。 

とても優しい雰囲気になります。


ボケは好き嫌いが分かれると思いますが、背景の整理でかなり面白くなると思います。
1番美味しい距離を体に叩き込まないとダメですね。
まだ殆ど開放でしか試していませんので、ちょっと絞ってみての検証もしてみます。

ジャンクの玉でもこんな写り。
極上品なら....。
古いCanonは面白い!!

超オススメです〜

レンズの概要こちら
くもり取り整備こちら
絞りリング調整こちら